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seiseki squareSSRブログ

2018/03/17

口のまわりに棒々鶏


 
 
 あるプロフェッショナルのバンドマンを知っている。花形のテナーサックス吹きだった。
 彼の話では、ある曲のある部分を一息で吹けなくなったら、プロとして一線を退くという不文律があるそうだ。また、楽器ごとにそういうフレーズがあるとも聞いた。
 引退して職業を変えてからは、集配の仕事を得て、夫婦暮らしを支えた。車持ち込みでルートをいち日ふた回り。渋滞がなければ、九時五時の仕事で、早々と大好きな家飲みが始められたようだ。
 
 ウイスキーを水割りで毎日ボトル半分弱。一週間に二本以上飲む計算になる。
 つまみは、飽きるまで同じものを通すのがスタイルで、例えば大きくなくてもいいから、ステーキと決めたらズーッとステーキ。ふた月でもみ月でも続く。
 口に合ったのか、とりわけその期間が長かったのが豚足だったとか...。
「普通、世の中の人は酢味噌で食べるけど、ぼくは、あの辛い棒棒鶏を付けて食べるのが好きだ」と聞いたことがある。

 豚足にかぶり付き、口のまわりに付いた棒々鶏を拭き拭き水割りをグビッ、目に浮かぶようだ。

 そんな彼だったから神様に ----- そんなにお酒が好きなら、もう仕事はいいから、こっちへ来て毎日好きなお酒を飲んで暮らしなさい ----- と言われたかどうかは聞かなかったけれど、還暦を迎える一年前にあっち側へ行ってしまった。

 今でも豚足を見ると必ず彼のことを思い出す ----- 曲のソロ・パートが来て、黒襟にキンラメの上着を着た彼が立ち上がり、スポット・ライトの中で体をのけ反らし、思いっきりテナーサックスを吹く様を...。


『バラエティーミートの平澤商店』(一ノ宮商店会)
http://seiseki-s.com/htm/shop/detail.asp?id=i042

 平澤商店と言えば、焼肉・BBQパーティー好きにとっては知らなきゃ損なお店。小売もしてくれるバラエティーミートの卸問屋さん。豚足は自家茹で、酢味噌も自家製。その日に茹でて、その日のうちに売ってしまうので、言わば早い者勝ち。買ってきたら室温に戻して食べると、より味わい深い。



【Mindi Abair / Imagine】

 

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