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seiseki squareSSRブログ

2019/03/01

あと千回の晩飯


 
 
 
 多摩市に在住歴のある有名人の一人に作家・山田風太郎がいる。

 晩年の彼は『自覚症状のある』厄介な老人だった。どう厄介かというと、普通のその手の老人は、突然、若いもんを怒鳴り飛ばしてことを終えるが、山田先生は、毎月、あちらこちらの刊行物に文章を掲載できる荒技があって、先生の辛口な苦情・問題提起を放置しておくと雑文のネタにされかねず、我が市役所も緊張させられる場面があったと聞く。どんな事例かは、詳細はここでは省くが、とにかく、版元から注文があるとサッと入稿されるので編集者からは重宝がられ、晩年にあっても掲載誌に事欠くことのない、露出の多い恵まれた環境で執筆できた作家であった。

 山田風太郎の代表作は、読者それぞれが最初に気に入った作品により様々な意見があるが、筆者は、戦中日記と晩年の雑文が今でも再読に耐える。

 今日は、その晩年の雑文集『あと千回の晩飯』を調子よく読んでいる。面白く読める理由は、これを書いていた頃の作家と読者である筆者が、年代的に、ほぼ同じくくりに属しているからだろう。
 若い頃にこれを読んだときは、嫌味な年寄りだと感じたが、今読んでみるとまんざらでもない。結局は、筆者も嫌味な年寄り世代に足を踏み入れたということなのだろう。


 

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