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匿名作家のせいせきブログ

匿名作家によるせいせき物語

2018/03/31

四月の蒼穹


 
 
 途切れることなく年度末の仕事が続き、雑多な引き継ぎ会議も重なった。

 温かいお茶を飲み、枕頭に短い小説を読んで、そして、疲れて眠りにつく日々。
 五月の連休までには気分を変えて、再びもとの生活に戻っていこう。
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2018/03/30

ギャビン・ライアルやジョン・ル・カレ


 
 
 そんなわけで、水口イチ子とは、深夜の同じ時間帯に『せいせき』のとあるバーでたびたび顔を合わすこととなった。

 ぼくは、いつもフォア・ロゼズをストレートでやりながら小さなノートに掌篇のプロットを思い付き次第に書き込み、イチ子は、ハムサンドなどを摘まんではビールで飲み込み、ギャビン・ライアルやジョン・ル・カレを読みふけっていた。
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2018/03/29

あの夏がやって来る


 
 
 十六、七の頃に何度か読み返した覚えのある小説 ----- Evan Hunterの"Last Summer"を書棚の隅に見つけた。

 胸騒ぎと多少の躊躇があったが、手に取って頁を繰ると、中程に挟み込まれた一枚の写真。
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2018/03/28

それで売り切れですか


 
 
 今のような電子メール全盛時代を迎えるより以前、郵便局は老若男女を問わず、国民が頻繁に足を運んだ場所のひとつ。手紙好きにとっては、今でもなつかしさを感じる場所だ。普段でも何かと用事を作っては立ち寄るマニアもいるに違いない。
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2018/03/27

それでも記憶に残っているもの


 
 
 二十世紀初頭の英国の小説家アーノルド・ベネットのエッセー『文学趣味』は次のような一節で始まる。

『文学趣味を上品な教養と考え、それを会得すれば自己が完成され、ひいては上流社会の一員として恥ずかしくないだけの人間になり得る ----- この誤った考えをまず最初に取り除く必要がある』
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2018/03/26

魔法のビート


 
 
 十年以上経つだろうか。
 ある年の春、那覇でレンタカーを借りて一週間程沖縄を旅した。

 海岸線に沿って反時計回りに本島を一周した最終日の夕方、右手に米軍キャンプ・キンザーを見ながら58号線を南下、勢理客(じっちゃく)の交差点を右折して国立劇場の方へ回り込んだ先に、最後の目的地『エフエム沖縄』はあった。
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2018/03/25

わずか五分、六分だというのに


 
 
 人気のない、むしろ謎めいた海へ行くのだと、きみが計画を話し始めたのは、去年の夏が、まだ至るところに踏みとどまっていた頃のことだ。

 今、それはかなえられ、半島の海沿いに点在する漁師町の中でも、とりわけ交通の便が悪く、何気なくは見つけようもないこの浜にたどり着いたのは、むしろ偶然という他なかった。
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2018/03/24

春が藤棚の上で磊落な笑い声をあげていた休日の昼下がりのことだ


 
 
 遠くで雲雀のさえずりが聞こえ、春が藤棚の上で磊落な笑い声をあげていた休日の昼下がりのことだ。

 時期的には少し早いと思えたが、水口イチ子が今年初めてノースリーブを着ている。

 ぼく達ふたりは、彼女の家の庭に賑やかにテーブルを運び出し、簡単なトーストや砂糖菓子の他、ナッツやジェリーを盛りつけた大皿を水色のテーブル・クロスの上に置く。
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2018/03/23

マンデリン


 
 
「マンデリンが好きよ」

 浅煎りの珈琲豆の色のように日焼けした村娘にそうささやかれて以来、ぼくは好んでマンデリンを飲むようになった。

 それは遙か昔、インドネシアの、とある小島の秋の、鄙びたホテルのカフェでのことであった。
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2018/03/22

クオリティがすべて


 
 
 昭和30年4月創刊。日本のタウン誌の元祖とも言うべき小冊子が、この『銀座百点』。『銀座に店を構える』と言うよりは日本を代表する百店(今は多少多い)絡みで誌面が作られる。加盟店の常連ならば毎月進呈されるだろうし、定期購読したって一冊三百五十円ほど。月々読み応えのある内容である。
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2018/03/21

『NEWYORK PERFECT CHEESE』に遭遇接近


 
 
「どこで買ったの? 東京駅? 羽田? 東京駅のお店は、最近、行列が出来てるって話じゃないのッ」

                  ***
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2018/03/20

スノーバード、あるいは冬の渡り鳥


 
 
 さて、今日は、ひとつの季節が終わって去っていく人のお話。

 関東人には軽井沢や那須高原が避暑地としてとりわけ有名だが、私達は寒さには強いせいか、外国人が好むような冬暖かい避寒地の需要が薄い ----- 温泉場が、それに取って代わっているのかも知れない。
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2018/03/19

どの靴を履いていくかも決められないものを...


 
 
 今夜、食事に誘われている ----- しかも三人から。

 手が空かないのを理由に、まだ誰にも返事をしていない。
 第一、どの靴を履いていくかも決められないものを、どうすれば今夜の相手を決められるのかわからない。
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2018/03/18

アディオス・ムチャーチョス!


 
 
 午前八時半。
 東京・羽田空港、第2旅客ターミナル。

「正直言って、独身とは言え、五十になって転勤はホント厳しいすよ」と彼。
 離陸も迫った時間だったので、セキュリティゲート前は混雑が始まっていた。
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2018/03/17

口のまわりに棒々鶏


 
 
 あるプロフェッショナルのバンドマンを知っている。花形のテナーサックス吹きだった。
 彼の話では、ある曲のある部分を一息で吹けなくなったら、プロとして一線を退くという不文律があるそうだ。また、楽器ごとにそういうフレーズがあるとも聞いた。
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2018/03/16

習慣というより、いち日を始めるひとつの手順


 
 
 自分のために簡単な食事を用意する朝。

 あり合わせのパン ----- ブールかバタール ----- のスライスを二、三切れ。それにバターと二種類のジャム。加えてマーマレイドがあれば、より嬉しい。他にチーズとハムをほんの少し。
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2018/03/15

嬉しいような、寂しいような...


 
 
 春。

 嬉しいような、寂しいような...。

 GRADUATION DAY.
 
 
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2018/03/14

TOMMY!


  
 
 人生永く生きてきますと、体のリズムとでも言いましょうか、若い頃とはだいぶ違って参ります。中身も外身も、いろいろ縮んだり、少なくなったり、短くなったり ----- 背丈も縮めば、気も短くなります。反対に、それらを補って余りあるほど長くなるのが『説教』。コレ、嫌われますね。
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2018/03/13

それぞれの季節のいち日


 
 
 その日最初の陽の光は『向ノ岡』のさらにその向こうから、連光寺旧農林省鳥獣実験場辺りの山並みを越えて、この多摩川べりの街『せいせき』に届く。
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2018/03/12

古いものほど新しい


 
 
 飲食店を数十年営んでいらっしゃる大将や女将さんにお尋ねすると、人の味覚・時代の流行りは、およそ十年ごとに変化するとおっしゃいます。ですから、味と献立をいじらないと(進化させないと)常連さん達もほぼ十年単位で入れ替わってしまうとか。
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2018/03/11

北極星輝くもとに


 
 
 恒例『百草園 梅まつり』は当初、明日3月12日(月)までの予定だったが、二、三日前の風雨で梅林が多少根負けしたようで、今日11日(日)に繰り上げ終了という記事がホームページにあった。やはり、草木を主役に置くイベントは、人間の都合どおりにはいかない。
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2018/03/10

さくらもこ


 
 
 セブン-イレブンの陳列棚の中でも、とりわけ新陳代謝が活発なのがスイーツ・コーナー。次から次へと『新発売』のシールのある商品が出てくる。
 今、売出し中なのが、桜風味のレアチーズが冷たい、シュークリーム風の『さくらもこ』。『ちびまる子ちゃん』の作者にあやかった、覚えやすいネーミングには誰もが気付くところ。
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2018/03/09

バレンシアまで1万キロ


 
 
 スペインの首都マドリードで美味しいパエリアを食べようなどとは思わない方がいい。なぜなら、パエリアは、マドリードを南に下ったバレンシア地方の郷土料理だから...。それはまぁ、京都で『切りたんぽ』なんぞを食べようというようなもんだ。
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